閃 き

閃き- blog

きらびやかに、美しく、痛烈に.

群論入門・写像〜群の定義まで

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/Z/Zellij/20121211/20121211230653.png

群論、難しい...。
頭の中でルービックキューブやあみだくじを想像して、なんとか概念を理解したい。

1.写像

1.1 写像に関する諸概念

写像
集合X, Yに対して、集合Xの各元をそれぞれ集合Yの1つの元に対応させる。
この操作を「XからYへの写像」といい、以下のように書く。
\begin{align}
f: X→Y
\end{align}

Xの元aYの元bに対応しているとき、bを「fによるa写像」といい、以下のように書く。
\begin{align}
b=f(a)
\end{align}

fの定義域・終域・値域
写像f: X→Yに対して、集合X, Yを「fの定義域」「fの終域」といい、Yの部分集合f(x)を「fの値域」といい「f(x)」と書く。
\begin{align}
f: X→Y\\
(fの定義域)=X\\
(fの終域)=Y\\
(fの値域)=\{f(x) ~|~ x~{\in}~X\}
\end{align}

fの像
Xの部分集合Aに対して、以下で示すYの集合を「fによるAの像」といいf(A)と書く。
\begin{align}
集合:f(A)~=~\{f(x)~|~x~{\in}~A\}
\end{align}
また、Xの元aに対して、以下で示すYの元を「fによるaの像」といい、f(a)と書く。
\begin{align}
元:f(a)~=~\{f(x)~|~x~=~a\}
\end{align}

fの逆像
Yの部分集合Bに対して、以下で示すXの集合を「fによるBの逆像」といいf^{-1}(B)と書く。
\begin{align}
集合:f^{-1}(B)~=~\{x~{\in}~X~|~f(x)~{\in}~B\}
\end{align}
また、Yの元bに対して、以下で示すXの集合\{x{\in}X\}を「fによるbの逆像」といい、f^{-1}(b)と書く。
\begin{align}
集合:f^{-1}(b)~=~\{x~{\in}~X~|~f(x)=b\}
\end{align}

1.2. 単射全射全単射

単射
集合Xから集合Yへの写像f: X→Yに対して、X上の任意の2つの元a{\neq}bにおいて、fの像がf(a){\neq}f(b)が成り立つとき、写像fを「XからYへの単射」という。
\begin{align}
f: X→Y\\
a~{\neq}~b~{\Rightarrow}~f(a)~{\neq}~f(b)
\end{align}

全射
集合Xから集合Yへの写像f: X→Yに対して、fの値域がYと一致する時、写像fを「XからYへの全射」という。
\begin{align}
f: X→Y\\
\{f(x)~|~x~{\in}~X\}~{\equiv}~Y
\end{align}

全単射
集合Xから集合Yへの写像f: X→Yに対して、fが「全射かつ単射」である時、写像fを「XからYへの全単射」という。
\begin{align}
f: X→Y\\
a~{\neq}~b~{\Rightarrow}~f(a)~{\neq}~f(b)~かつ~\{f(x) ~|~ x~{\in}~X\}~{\equiv}~Y
\end{align}

2.置換

2.1 置換(および互換)に関する諸概念

◯ 集合X上の置換
集合Xから集合Yへの全単射のうち、とくにX=Yであるものを「集合X上の置換」という。
n個の元\{a_1, ... a_n\}をもつ有限集合\Omegaの置換は以下のように書ける。
\begin{align}
\left(
\begin{array}{ccc}
a_1 & a_2 & a_3 & ... & a_n \\
f(a_1) & f(a_2) & f(a_3) & ... & f(a_n)
\end{array}
\right)
\end{align}


◯ 集合X上の互換
集合X上の置換のうち、とくにX上の異なる2つの元a, bの取り替え(=交換)になっているものを「集合X上の互換」といい「(\alpha~~\beta)」と書く。
有限集合\Omegaの互換は以下のように書ける。
\begin{align}
\left(
\begin{array}{ccc}
\alpha & \beta \\
\beta & \alpha
\end{array}
\right)
\end{align}


◯ 恒等置換e(恒等写像ともいう)
集合Xの任意の元xを集合Xxへ対応させる写像も、集合X上の置換であるが、これを特に「集合X上の恒等置換」といい「e」で表す。


◯巡回置換
→略


◯偶置換と奇置換
定理1:集合\Omega上の任意の置換f, gに対して、fgの合成f{\circ}g\Omega上の置換となる。
定理2:集合{\Omega}=\{1,2,3,..., n\}上の任意の置換fは、次の互換のうち、いくつかの重複を含めた合成によって表される。
\begin{align}
(1~~2), (2~~3), (3~~4), ..., (n-1~~n)
\end{align}
定理3:集合{\Omega}=\{1,2,3,..., n\}上の任意の置換fは、いくつかの互換h_1, h_2, ..., h_lの合成置換h_1{\circ}h_2{\circ} ..., {\circ}h_lとして表され、「lが偶数であるか奇数であるか」は置換fに対して一意に定まる。

よって、定理3より、「偶置換」と「奇置換」を以下のように定義する。
ー偶置換 f:「 f~=~h_1{\circ}h_2{\circ} ..., {\circ}h_l」とすると、lが偶数。
ー奇置換 f:「 f~=~h_1{\circ}h_2{\circ} ..., {\circ}h_l」とすると、lが奇数。

2.2 置換群

n個の元を持つ任意の有限集合\Omegaに対して、「置換」操作を行うとさまざまな集合が得られる。これらの集合は「n次置換群」「n次対称群」「n次交換群」に整理・分類することができる。

◯ n次対称群 S_nの定義
n個の元を持つ任意の有限集合\Omegaに対して、\Omega上の置換全体からなる集合を「n次対称群」といいS_nで表す。S_nは次の性質を満たす。
(S1)S_nの任意の元 f, gに対して、f{\circ}gS_nの元である
(S2)S_nの任意の元f, g, hに対して、結合法則が成り立つ。
    (f{\circ}g){\circ}h=f{\circ}(g{\circ}h)
(S3)S_nにある元eがあって、S_nの任意の元fに対して、次の式を満たす。
    f{\circ}e=e{\circ}f=f
(S4)S_nの任意の元fに対して、次の式を満たすS_nの元gがある。
    f{\circ}g=g{\circ}f=f


◯ n次交代群  A_nの定義
n個の元を持つ任意の有限集合\Omegaに対して、\Omega上の偶置換全体からなる集合を「n次交代群」といいA_nで表す。n次交代群A_nはn次対称群S_nの部分集合であるから以下の性質を満たす。
(A1)A_nの任意の元 f, gに対して、f{\circ}gS_nの元である
(A2)A_nの任意の元f, g, hに対して、結合法則が成り立つ。
    (f{\circ}g){\circ}h=f{\circ}(g{\circ}h)
(A3)A_nにある元eがあって、A_nの任意の元fに対して、次の式を満たす。
    f{\circ}e=e{\circ}f=f
(A4)A_nの任意の元fに対して、次の式を満たすA_nの元gがある。
    f{\circ}g=g{\circ}f=f


◯ n次置換群 Gの定義
一般に、n次対称群S_nの部分集合を「n次置換群」といいGで表す。
(G1)Gの任意の元 f, gに対して、f{\circ}gGの元である
(G2)Gの任意の元f, g, hに対して、結合法則が成り立つ。
    (f{\circ}g){\circ}h=f{\circ}(g{\circ}h)
(G3)Gにある元eがあって、Gの任意の元fに対して、次の式を満たす。
    f{\circ}e=e{\circ}f=f
(G4)Gの任意の元fに対して、次の式を満たすGの元gがある。
    f{\circ}g=g{\circ}f=f

3. 群

3.1 群の定義

以下の性質(1)〜(3)を満たす集合を「演算子✳︎に対する群」という。
以下の性質(1)〜(4)を満たす集合を「演算子✳︎に対するアーベル群」という。

(1)演算✳︎に対して「結合法則」が成立。すなわち、集合Gの任意の元a, b, cに対して、
\begin{align}
(a~✳︎~b)~✳︎~c~=~a~✳︎~(b~✳︎~c)
\end{align}
(2)演算✳︎に対して「単位元」が存在する。すなわち、集合Gにある元eがあって、集合Gの任意の元aに対して、
\begin{align}
a~✳︎~e~=~e~✳︎~a~=~a
\end{align}
(3)演算✳︎に対して任意の元(=a)の「逆元」(=b)が存在する。すなわち、集合Gの任意の元aに対して、
\begin{align}
a~✳︎~b~=~b~✳︎~a~=~e
\end{align}
(4)演算✳︎に対して「交換法則」が成立。すなわち、集合Gの任意の元a, bに対して、
\begin{align}
a~✳︎~b~=~b~✳︎~a
\end{align}

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/8/8c/Symmetric_group_4%3B_permutohedron_3D%3B_l-e_factorial_numbers.svg/600px-Symmetric_group_4%3B_permutohedron_3D%3B_l-e_factorial_numbers.svg.png

http://hooktail.sub.jp/algebra/BraidGroup/Joh-Braid8.gif

coming soon...